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奇跡のりんご [本]

遅ればせながら、映画が始まった「奇跡のりんご」の原作を読んでみました。

不可能と言われている林檎の無農薬栽培を成功させた男のドキュメント。


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簡単に書けばそんな話なのだが、農薬を使用しないということは無数の害虫や

病気との闘いであった。

咲かない花、落ちてしまう葉。当然果実は実らない。

そのうちに林檎の木そのものが弱りはじめ、腐っていく。


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その他にも近隣農家の冷たい目、中傷なども気を滅入らせる。

収入がないため家族にも苦労を強いらせる。


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そんな生活が10年近く続く。本人の忍耐もこれまでかと自殺を考えた時に神が降りてくる。

様々なことを気にしてあれこれ手をかけるのは林檎にとって余計なことだったのだ。

もちろん虫を捕ったり、ある程度の草刈りなどはしなければならないが、手をかけすぎないことに

よって林檎の木そのものが逞しくなってくる。


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根が太く長くなり、枝もしっかりとして落果しにくくなる。

過酷な条件にすることにより果実の甘味等も強くなってくる。


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それが今から20年ほど前の話だったらしい。

今は安定して実が出来るようになり、なかなか入手困難な果実となった。

これで家族の苦労も報われるというもの。


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中にこういう話がある。

「考えてみれば、カマドケシ(津軽弁で貧乏神のような人)だ、馬鹿だと周囲から白い目でみられたのも

事実だけど、そういう時でも味方をしてくれる人はいた。電気代とか水道代が払えない時にこっそり払って

くれた友達もいたし、スクラップ屋も程度のいいエンジンを持ってけと言ってくれたり、お金を借りていた

銀行の支店長も利息だけでも払おうと持っていった金を生活費がなくなるだろうと受け取らないこともあった。


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税務署の課長さんも”いつかあんたの時代が来る”と励ましてくれたり、林檎ができるようになったら、

隣の畑の持ち主が、境にある自分のところのリンゴの木を全部切り倒してしまった。

虫が来るとか病気がうつるという理由ではなく、自分のところで農薬を撒けば無農薬が台無しになる

ということだった。いろんな人が支えになってくれたからやってこれた」と語っていた。


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人間捨てたもんじゃあないなあと強く考えさせられた話でした。

突っ張って自分一人で生きているような錯覚に陥っている自分も誰かに生かされているんだなあ

ということが、この歳になって改めてわかった。


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映画化に伴って文庫本になりましたから、一度読んでみたら様々なことを考えさせてくれる本だと

思います。映画はたぶん泣いてしまうから、劇場では観れないな。DVD化を待とう。


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全ての写真は、遅咲きで満開の弘前りんご公園で撮ってきました。

それにしても、奇跡のりんご・・・食べてみたいです。



奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 石川 拓治
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2011/04/12
  • メディア: 文庫



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HIROMI

昨日の「世界ふしぎ発見」でも取り上げられていましたね。
観に行きたいなあと思っています。
by HIROMI (2013-06-02 10:47) 

odosama

後日談ですが、今でもこの栽培法に反対の農家もだいぶいるみたいで、
本や映画で有名になって真似されたらかなわないと言っている人もいた。
まあ、真似しようたってなかなかできるもんじゃないでしょうが、この無農薬の
林檎ばかりもてはやされて、普通に作っている林檎が低く見られるのも困りもんですね。
by odosama (2013-06-03 14:54) 

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