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「出口のない海」 [本]

戦記物が続きますが、これも太平洋戦争で特攻と言われた人間魚雷「回天」の物語。

作者は「半落ち」でも有名な横山秀夫さん。

こちらも資料を使っていますが、「永遠の0」ほどは、くどくない。

というよりもこれぞ小説という感じで、読み始めたら最後まで止まらない。

そして、・・・泣ける。

主人公こそいいとこのお坊ちゃんで甲子園優勝投手というなんかありがちな人物像だが、

敵対する競走部(陸上部)の北という人物がこの時代大多数を占めるであろう役回りで

共感が持てた。


戦地に赴くとなったら死は覚悟しなければならないわけだが、助からない訳ではない。

しかし、特攻となると飛行機にせよ魚雷にせよ死ぬことは当たり前なのである。

そんな時の人間の気持ちとは、もちろん本人にしかわからない訳だが、作者は

その気持ちをこれでもかというほど書き込んでくれる。


たまたま機器の故障で目的を達することができず、帰還してくると待っているのが

上官の鉄拳制裁。なんと理不尽なことだろう。

でも、あの時代は当たり前の事だったのだ。


国のために見事に敵艦隊を撃沈し、命を捧げるというのが帝国軍人。

今の時代、理解不能。違う人種。

だけど、同じ日本人なんだよね。

確かに意識が違うだけで、話す言葉も顔だちも日本人なんだよね。


自分も生まれたのが終戦後十数年。復興が早かったのか戦争の傷跡みたいなものは

あまりなかったが、今よりは人間関係が良かったかなあと感じる。

昭和の、そう「三丁目の夕日」時代そのもの。

隣近所も良きにつけ悪しきにつけ、干渉しほうだい。

悪さをすると知らない大人にも叱られる。

気骨のある人が多かった。親もやいのやいの言わない。


それでも、何もなかったけど楽しかった。

皆貧乏。ズボンに継ぎあてなんて当たり前。

鼻の下は青っ洟でづるずる。でも、皆元気で楽しかった。

良かったなあ、あの頃に戻りたい。


本の話をしていたんですね、なんか昔に戻ってしまいました。

でも、戦争時代までは戻りたくないですね。

これからも、平和な時代が続きますように・・・。



そう言えば、この本を見つけたのは本屋ではない。

音楽から・・・。

竹内まりあさんの「返信」という曲を聴き、すごく悲しいけどいいなあと思ったのが最初で、

その曲は映画「出口のない海」の主題歌だった。

どんな話なんだろうと思ったのがきっかけでした。 



出口のない海 (講談社文庫)

出口のない海 (講談社文庫)

  • 作者: 横山 秀夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/07/12
  • メディア: 文庫



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