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「永遠の0」 [本]

ベストセラーはあまり読まないと書いておきながら、300万超えの「永遠の0」を読んでみました。

言い訳ですが、この本そのものは文庫が出た3年前に購入していたのですがなかなか読む機会が

なく今日まで本棚に飾ってありました。(ベストセラーだから買った訳ではないというのを言いたい訳)


さて、これほど売れていると今更あらすじを書いたところで意味もないので、感想だけを少し。

実にたくさんの資料を読み込んで、当時の戦争がどれだけ悲惨だったか、軍の上層部の身勝手さ

でどれだけの尊い命が失われたかがよくわかる。これに作者の創作の恋愛小説的な要素を絡めて

デビュー作としてはよくできている小説だと思う。人物描写もなかなか良く書けているし、主人公に

感情移入させられてしまう場面もあった。だが、資料を引用した史実の場面があまりにも悲惨な為に

創作部分が余計な付け足しっぽくなってしまったのは残念だなと思った。

この小説を読んで泣けたという書評もたくさんあるが、自分は泣けなかった。

あまりにもありえない話(だから小説なんだろうけど)すぎて、ピンとこなかったというのが本音。

それに、史実をこれでもかと詰め込みすぎたために長すぎる。

最初に3年も本棚に飾ってあったと書いたが、導入部分がつまらなくなかなか読み進めなかった

というのが本当のところ。その時の気分もあるし・・・。

今回は導入部を我慢して読み進めたら中盤から一気にラストまで読めた。

ラストのどんでん返しは、なかなか面白く「やるな!」とは思ったのですけどね。


話は本の感想から逸れるが、自分の両親も戦前生まれなので戦争は体験している。

小学生の頃はよく話を聞かされたものだ。親父は中国戦線でロシアの捕虜になり命からがら

復員してきた。母親は中学生であったが、それこそ艦載機に機銃掃射されたこともあったそうだ。

夏の花火を見ていると必ず「空襲」を思い出すと言った。町が焼かれているというのに焼夷弾が

雨あられと落ちてくる様を「綺麗だ」と思ったそうだ。夜が明ければ、地獄絵図なのですがね。

そんな話を聞くに付け、戦争というものはなんと悲惨なものなのかと子供心に思った。

終戦から68年。今や映画や小説でしか知ることができない過去の出来事であるが、誰かが伝えて

いかないとそれこそ風化してしまうというものだ。


この本が多くの人に読まれているのをきっかけに(恋愛部分を抜きに)、もう一度どれだけ罪もない

人々が命令されて亡くなっていったのか。残された家族の悲惨さはどうだったのか。

きな臭くなってきた最近の状況を注目して、戦争反対を叫んでいきたい。


永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

  • 作者: 百田 尚樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/07/15
  • メディア: 文庫



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だびょん

私はこれ・・・漫画で読みました(^^)。
漫画、私はなかなか良かったと思いました。
実は小説があるのを知らず、なんとなく面白そうだとeBook Japanで購入してiPadで読みました。映画かもされるようですね。
by だびょん (2013-07-30 22:55) 

odosama

この小説に関しては、漫画や映画の方が良いかも。
太平洋戦争の史実を読んでいる人やある程度読書を趣味
としている人にとっては、あまり評判がよろしくないみたいです。
by odosama (2013-07-31 15:25) 

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